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桃青窯696

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50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

2017年 10月 11日 ( 1 )


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 コタンの袋小路  ユトリロ画


今夜は・・2005年9月に書いた
エッセイ「折々の折り」からの転載
時系列は当時のままなので
更に12年経ったことになる

書架にユトリロの画集を探してみたが
転居の断捨離で処分してしまったようだ
惜しいことをした・・珍しく悔いた


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                             2005/9 折々の折りより

少し古い話・・1970年の晩秋のこと
取材旅行の途中だったが
体調を崩し仕事を中断してパリでウロウロしていた

三島由紀夫が異様な割腹自決を遂げたあの日の前後だ
パリ在住の女流カメラマンのHさんが
気晴らしにと食事に誘ってくれた


モンマルトルの丘に登った・・そして
どこからでもサクレクール寺院が見える
坂の多い道を・・ふたりで歩き回った
どうしても一度訪ねてみたい場所があった
それがコタンの袋小路だった

この道をユトリロが描いている・・どんづまりの
急な階段を尼僧のような女性が登ってゆく
きっちりした遠近法を示す直線的な絵だ
木立と昇る人間だけが・・どんよりとした静けさに
音を吹き込んでいるようだ

精神はことのほか屈折したユトリロだが
積み木のように真っ直ぐなこの絵が好きだ
自分の足音がこだましそうで・・一度行ってみたかった
そして
行ってみて・・絵のほうがもっと好きなのもわかった
絵は写真とは違う・・当たり前だがそのことを痛感した

初めてパリに行ったとき
世界中の画家がこの街に来たがるのがよくわかった
どこに立っても・・目に映るもの総てが画題のようだ
しかし
それでいてこれを絵にするのは多分容易じゃない
絵以上に美しく絵画的だからだ

そうしてみると・・コタンの袋小路に立って
なお絵のほうが好きだと思えるユトリロの
豊かな表現力に改めて感銘した

今夜のNHKが、ユトリロを取り上げていた
その最後に・・晩年のユトリロがモンマルトルで
絵筆をとっている実写のフィルムを紹介した
実際にはこうして写生することはなかったそうだが
このときから3週間後に死んだというから
まさに遺影・・私が中学生の頃のことだ

私が実際にコタンの袋小路に立ったのは29歳
ユトリロの没後15年ほどしか経っていない
到底そうは思えないほどに
遠い画家のような気がしてならないのだが・・

久しぶりに
ユトリロの画集を眺めながらこれを書いている
コタンの袋小路・・やっぱり好きな絵だ
 
               


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by touseigama696 | 2017-10-11 21:50 | ○折々の折り | Comments(0)