ブログトップ

桃青窯696

touseigama.exblog.jp

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

大統領の冒険


d0085887_08194805.jpg


夜明けに・・要介護の桃次郎の面倒みながら
この本を読み終えた
久々の大部・・475ページ
書斎と工房を行ったり来たりする間に
カバーがすり減っている

この本の訳者は・・カズヨ・フリードランダーさん
このブログでもリンクしている
「アメリカからニュージーランドへ」
BBpinevalleyさんである

壮大・遠大な自然が背景のブログに魅了されてきたが
この訳書に流れるものも・・一緒かもしれない

アメリカ26代大統領セオドア・ルーズベルトが
晩年・・ブラジルのアマゾンに出向き
謎の川を発見探査する冒険のドキュメントである


d0085887_08200865.jpg

20世紀初頭のことゆえ
写真になればかほどに・・不十分な装備でしかないが
しかし
それらがどんなに進歩したにせよ
この冒険の底流を流れるあるひとつの言葉が
読んでる間中・・私の胸に響いていた
装備では解決できない・・精神とでも言おうか

見逃していたら申訳ないが
この本にも出てこないことば
「ノブレス・オブリッジ」・・これがそうだ
「高貴なる者の責任」「地位ある者の責任」
そういった意味である


d0085887_08195851.jpg

アメリカ合衆国大統領まで務めた男が
還暦を間際に・・ここまで命がけの冒険をするか?
それをかきたてるものは何か?
彼に限らず・・この冒険のリーダーたちに共通の
信念とも思えるものが・・ノブレス・オブリッジなのだ

ノブレス・オブリッジが実現されるために
欠かすことのできない人間的資質は・・きっと「勇気」だ
これなくして・・責任は果たせない
高貴なる者・・地位ある者・・力ある者
彼らがそれらしく尊敬されて生きるために
一番大事なものが勇気
老いてなお冒険にかきたてたものはそれだ

そもそもは・・欧州の貴族階級が
貴族としての特権を享受しようとするなら
国難の折り
先頭に立って戦うことが義務であり責任である
その伝統が・・ノブレス・オブリッジなのだ

英国皇太子は・・海戦あらば旗艦に乗る
それが義務だと聞く
フォークランド紛争の折には
まさしくそうしたと報道されたのを覚えている

戦争を礼賛するつもりは毛頭ないが
「地位ある者の責任」
毎日の報道を見ていて・・政界・官界・財界
ノブレス・オブリッジを感じることは・・殆どない
厳しさに欠けると思わざるを得ない昨今である

この本の訳者カズヨ・フリードランダーさんは
あとがきでこう書いている

「・・この時代を生きた人々の、
石を積み重ねた要塞のような人間像には、
改めて人の可能性を思い知らされ、
勇気づけられます。」

要塞の石垣を組んでいたものこそ
ノブレス・オブリッジだったのだと・・思う

久しぶりに重厚なノンフィクションを読んだ
翻訳はきっとご苦労なことだろうが
先駆けて感動に触れる・・素晴らしい仕事だと思う




人気ブログランキングへ応援してくださる方・・クリックしてネ!


[PR]
by touseigama696 | 2016-10-06 09:25 | ●エッセイ | Comments(2)
Commented by BBpinevalley at 2016-10-06 14:12
先ほど日本の旅から戻り、桃青窯さんのページを開いてビックリ❗️
立派な評を書いて頂いて、ありがとうございました。とても嬉しいです。
ノブレス・オブリッジという言葉が表す精神は、正にルーズベルトの骨子だったに違いありません。
彼にとってはアイデンティティーの根っ子だったでしょう。
資本主義経済が世界に蔓延する前は、人間は、生きることの美学を追求してきたのですよね。
人間たるもの、こうでなければ生きる意味がないという「額ブチ」がしっかりあった。
何が何だか分からなくなった今、ルーズベルトのような人間像がなんと清廉に見えることか…
勇気付けられる本でした。

楽しんで読んでいただけたことが、また格別に嬉しいです。
ありがとうございました。
旅の疲れが取れました(笑)


Commented by touseigama696 at 2016-10-07 03:53
BBpinevalleyさん

ありがとうございました
慌ただしくもご多忙な帰国
それでもきっと懐かしい再会が
沢山あったんでしょうね
楽しまれたことと思います

私が若いころ
いわゆる翻訳調とでもいうんでしょうか
関係代名詞の訳し方などで
如何にもこれは外国の著者が原典と
すぐにわかる本がありましたが
あなたの翻訳は日本語が自然で
とてもリズミカルに読めました
訳書というより著書という感じで
大部なればこそのご苦労が偲ばれました

あの時代を生きた骨太な大人たち
不自由なればこその本当の自由
不足なれども意に介さない豊かさ
人間らしさの本質を見極めたヒューマニズム
現代が得たものと失ったものの鏡を
見るような思いで読んでいました

人間が長生きするには厳しい時代でしたが
長命が可能な現代に生きて皮肉にも
人生は長命が全てではないことを
思い知らされています
to be or not to beは
今こそ大事な命題なのかもです

次のお仕事は?
また楽しみにします
名前
URL
画像認証
削除用パスワード