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桃青窯696

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50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

日本で・・一番夜が長い日

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青山通りを一本内側に入った赤坂と
両国橋のたもと・・隅田川のほとりにあったスタジオ
若い頃のある時期・・かなりな時間をそこで過ごした

収録した番組に・・ナレーションや音楽を入れる
そのために・・狭いミキシングルームで
Qボタンを押すタイミングに神経を払う

昼も夜もなかった・・音も光りも遮ったスタジオは
明かりを落とせば・・いつでも漆黒の闇
原稿を読むだけの手元灯のそばに
私が押したQサインが光る・・小さな赤いランプ
自分の足音さえ聞こえない・・完璧な防音
だから季節や外の出来事とは・・およそ無縁の環境だった

さる有名な作家が・・不眠を理由に
自宅の寝室をスタジオ並みに改装し
「これで静かに眠れる」と喜んだが
暫くして・・近所の火事にも気づかず
あわやのところで救出された
「確かに静かに眠れたが・・もしかしたら
永久に目覚めなかったかもしれない」・・と
それほどに・・無機質な世界である

スタジオはともかく・・文明の利器は
朝も夜も夏も冬も・・押しなべて平らにしてしまった
快適とは・・不自由不便の対極にある
そのコンセプトが・・多分間違いなのだ

僅かな不便を受け入れてこそ
季節とその臨場感が・・生活に溶け込むのだ
病院をリタイアして・・自宅工房で迎えたある夜
窯場の扉を開けたら・・真っ暗な我が家の庭の
その端に・・青白い月が見えて
晩秋の夜のほの冷たさに・・昨日までとは違う
そんな思いに浸ったのを思い出す

確か似たようなことを書いた覚えがある
検索してみたら・・下記の掲載を見つけた

ほぼ10年前のこと・・同じような感慨だが
しかしこの間に・・自然はもっと大きく変わっている
ゲリラ豪雨・・水害・・土石流
文明に反省を求めているのかもしれない

昨日は・・今年の冬至
大好きなかぼちゃを食べたのは言うまでもない

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『冬至・・言うまでもなく一年中で一番陽の短い日
南のはずれから昇って落ちる太陽は
まるで足元灯のようにこころもとない
毎日のように同じ夕刻に桃次郎を連れて歩けば
否応なしに陽の長さ・・短さを思い知らされる

残照に汗した夏のあの日と
比べようもない暗く冷たい・・たそがれ
考えてみれば大きな建物の中で一日を過ごし
人工的な照明だけを光りのように暮らしてきた日々には
忘れていた自然との共生・・それをまた取り戻したのは
少し老いを感じる郷愁のようなものだ

この時期・・柚子湯に入れとも
かぼちゃを食えとも言い伝えられてきたが
それも熱い湯こそ・・湯治の冬至であり
ビタミンを補う食材が・・
光りの弱い冬の暮らしの病い除けだからだった
土用の鰻と似たようなもの

しかし・・そうした季節感をたどる日常とは
かなりへだたったところで・・
現代文明の豊かさが生活を平板にしてしまうのだ
エアコンの効いた部屋に住み
ハウス栽培の野菜には旬もない・・普通にしていれば
蛋白質もビタミンも足らざるものはないのに

今日の曇天をおぼろげに光っていたあの金星よりも
僅かに太陽から遠いという偶然で・・生命が芽生えた地球
その地球のお腹を締めた回帰線のベルトから
これも偶然のように・・ちょっとだけはずれたおかげで
四季に恵まれたこの日本・・全ては偶然の賜物だから
冬至がどんな日かだって・・
もう少し思いみるゆとりを持つべきだと
今にしてそう思えるのだ』  2005/12/11折々の折り
 


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by touseigama696 | 2014-12-23 05:37 | ●エッセイ | Comments(0)
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