ほんものの威力

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出典は忘れたが・・白洲正子さんのエッセイの中で
「私は幼いころから・・いい器で食事をさせてもらいました
伝来の優品を使って食べる・・それがどれほど私の血肉になったか」
そんな意味のことが書かれていた

伯爵家の令嬢・・少しも不思議な暮らし向きじゃないが
それが・・自分の血肉となったと感じる感性を育んだのは
娘への両親の思い・・にあるのだろう
ほんものには・・本物に固有の特別な威力がある
それが分かるには・・危うさを越え手に取って使うこと
白洲正子の人生を貫くものは・・きっとそこだ

伝来の優品を手に入れるのは・・勿論高価な贅沢
でも・・それを使って壊すかもしれないことを許す
その贅沢は・・金銭を越えて人間の資質を育むものだ
集めて飾るだけのコレクションは・・美術館でもないかぎり
美への贅沢の・・ほんの一部でしかない
子どもに残すものは・・物ではなく
使う勇気・・使わせる勇気
本物の威力に負けない感性を育てることだと・・思いたい

別の誰かが・・「ほんものを使わせると
乳飲み子でもない限り・・子どもだって
物を大事にするようになるもの・・心配するほどに壊れない」
・・そう書いてた

育てるとは・・信じること
もしかしたら・・今の教育に不十分なことはそれだ
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これは・・私が持ってるヴァイオリン
10歳のころ・・父親が買い与えてくれたものだ
身体が大きかったから・・大人用のサイズ

亡母によれば・・
「戦後まだ貧しかったけれど・・お父さんは
一か月分の報酬を丸ごと使って・・これを買ったのよ・・」
イタリアの古楽器というわけじゃないが
それでも・・子ども用の稽古ヴァイオリンではない
「良い材料を使ってるから・・鳴らせばまだ鳴りますよ」
いつだったか手入れを頼んだプロショップの主が
そう言ってくれたのを思い出す

今では・・巧く鳴らすことはできないが
だからといって手放す気はない
ヴァイオリンニストにはなれなかったが
ほんものの威力は・・沢山教えられたからだ

いずれ・・もし孫が稽古したくなるようなら
勿論・・譲ってやろうと思う
ふたりの孫は・・ふたりとも男の子
さて・・どうなるだろう?



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by touseigama696 | 2014-09-24 06:22 | ●エッセイ | Comments(0)
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