2014年 09月 12日
コムサ! |
私が知ってる唯一の実用フランス語は・・「コムサ」だった
「だった」と言うのは・・遠い昔のことだから・・
1960年代・・20代だった
予算がないって理由で・・通訳を雇えない私は
自分で何とかしろ!・・の社命で何とかしてた
観光とグルメなら・・手振り身振りでどうにでもなる
だが撮影取材となるとそうもいかない・・フランスでは困った
今はどうか知らぬが・・英語の嫌いな人が多かった
撮りたいものを・・言葉で解ってもらえない
「普段と同じように・・自分のデスクで仕事しててくださいな
いつもそうしてるなら・・珈琲飲んだり勿論結構ですよ」
これフランス語でどう言やいいのさである
何度かの苦境の挙句に・・学んだ一言が「コムサ」だった
コムサは・・英語ならlook like thisみたいなもの
つまり・・「こんな具合に」とでも
私は・・被写体の人物のデスクに座り
ペンを持って書類に向かい・・傍らのマグを手に取る
そこで「コムサ!」・・同じようにしてくださいねというわけだ
救世主のような言葉だった・・これで大抵のシーンは撮れたからだ
だが・・後に駐日フランス大使夫妻を
日本のフランス大使館で撮影することになったとき
さすがに「コムサ」ってわけにはいかない
勿論英語でいいのだが・・何せこのフランス大使は
後に本国で外務大臣まで務められた伯爵の称号を持つお方
今度は・・自分の英語のいい加減さを恥じる羽目になった
言葉は・・現場で否応なしに覚えるものだが
同時に・・磨きをかけるにはきちんとした勉強が必要
当時そう思ったが使わなきゃ忘れる・・情けないことだ
「新しい工房・・どんな具合?」
そう聞かれたらこれをご覧に入れよう・・「コムサ!」である
結構ドッちらかってきた・・仕事してる証拠?
私の教室のコンセプトは・・思えば「コムサ主義」ともいえる
のべつまくなしに・・カリキュラム通り教えるということはない
思い通りにならない様子を遠くで眺めながら・・ある日ある一瞬に
「今かも」と感じて・・私の手で同じことをやって見せる
そのタイミングが間違ってなければ・・
私のする手つきを見つめて・・目からうろこが起こる
「そういうことなんだ!」・・直後には出来るようになってる
上手くゆかない理由への問題意識が生まれたころに
まさにそこをやって見せてあげて・・「コムサ!」
饒舌よりも・・遥かに説得力があるようだ
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by touseigama696
| 2014-09-12 05:54
| ●エッセイ
|
Comments(2)
「見て覚える…」悪い言葉で言えば「技術を盗む…」
これは得意です。
父親がやっていた時計の修理…
小さな頃から見ていただけですが、
いつの間にか、真似事くらいは出来るようになっていた…
しかし、陶芸はそういうわけにはいきません。
真似事から1つ上、オリジナルに進まなければならないから…笑
これは得意です。
父親がやっていた時計の修理…
小さな頃から見ていただけですが、
いつの間にか、真似事くらいは出来るようになっていた…
しかし、陶芸はそういうわけにはいきません。
真似事から1つ上、オリジナルに進まなければならないから…笑
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touseigama696 at 2014-09-13 06:15