2014年 05月 03日
老兵は・・やはり死す |
見えてきた地面の上にあった木造は・・完全に撤去され
陋屋とはいえ・・つい一か月前まで
ひとの営みを支えてきた三階の鉄筋のビル
全てのライフラインを切断され
皮をはがれ・・骨を切られれば
老兵は消え去るのみ・・では済まず
今まさに死のうとして・・無残である
ひとは・・物を作るとき
意識して・・壊す日を考えたりはしないものだ
丈夫で長持ち・・やきものでも似たようなもの
儚さだけでは・・市場に出しにくい
できるだけ長く使ってもらえるように・・そう願う
老朽は・・思いがけない危険を伴うから
壊すには・・作るよりはるかに力が要る
この写真から数時間・・私は現場に立ちすくんだ
危険な仕事が・・無事であってほしいもあるし
近隣へのご迷惑に・・せめて立ちあおうでもある
その数時間で・・三階は消えた
若い職人たちの渾身が・・骨を切り落とした
この三階には・・亡父の書斎があった
大きなデスクを真ん中に・・大量の書籍が書架を埋めていた
94歳で逝くまでの日々が・・よみがえる
一階は・・私の工房だった
新しい工房よりも・・ボロだったが広かった
広いってだけで・・頭を使わずに使ったが
その分・・余分なゴミの整理に苦労した
「作る」には・・やがて「壊す」日がくること
「大事」と「不要」がほどほどの・・調和
そうしたことを意識して暮らすことは
思いのほか難しいものだ
若かったからだといえばそれまでだが
これからの残された人生・・
大いに意識してゆこうと・・痛感している
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by touseigama696
| 2014-05-03 05:41
| ●愛しきものよ・・
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