プロのプロらしさ

d0085887_6453785.jpg

かつて私は・・独りで
ひと夏をまるまる房州九十九里浜で過ごし
毎日・・この水平線を見ながら本を読んだ
学生時代の・・忘れ得ぬひとコマだった

水平線・・本当には実在しない線だが
これが見える海は・・ただただ果てしなく広い
そう思えて・・圧倒された

同じ水平線を・・「はじまりの記憶」と呼び
それを確かめるために・・
世界中の水平線を・・撮って歩いた写真家がいる

画面を真っ二つに分割した水平線を
じっと見つめ続けて・・飽きなければ
記憶の始まりが・・海だったといえはしないか
その仮説に応えて・・水平線はライフワークになった


杉本博司 はじまりの記憶
昨日の早朝・・
私の部屋に泊っていた桃次郎に起こされて
思わず見惚れたドキュメンタリーが・・「はじまりの記憶」だった

不明を恥じるが・・この写真家のことを存じあげなかった
高性能カメラを熟知し・・これを駆使して
被写体の表現に個性を発揮する写真家は沢山いるが
杉本さんは・・そうしたカテゴリーで括れない

「日本人が・・もの作りの技術に優れているのは
1万年を越える縄文時代を経てきたから・・」
杉本さんは・・そう言った

急いで進歩に乗らずに済んだ穏やかな文明的土壌
腰の据わった焼きもの文化を生んだのも・・縄文
かねてから・・私もそう思ってきた

全てが・・単なる写真家の視点ではない
随所にハッとする重厚な文明論・・
深く感銘したのだった


母の覚悟でピカソに挑む 岩井希久子
桃次郎につられた早起きは
もうひとつの偶然で・・このアーカイブも見た
絵画修復家 岩井希久子さん

絵画の修復・保存は
画家の生命に関わる医師みたいなものだ
作家の創造性とは対極の立場で
しかし・・画家以上に神経を擦りへらす仕事

彼女の最も高い評価を生む補彩は
その根底に・・ひとつの厳しいルールがあるという
それは・・
補彩をいつでも元に戻せる絵具を使うのだそうだ

想像の原画に復元するのは
色を似せることではない
画家が生きた時代・画家の感性
使われた画材・・あらゆる情報が
修復家の・・頭脳パレットで混色され
最後は・・渾身の勇気で筆にする

その生き方は・・命がけにも関わらず・・
決して原画に定着させない献身の矜持
本当のプロの・・プロ魂を見る思いだった

岩井さんのことも・・承知していたわけじゃない
杉本さんにせよ・・岩井さんにせよ
知らずにきたことは・・不明に尽きる
技術は言うまでもなく・・
その生き方からは・・学ぶものだらけ

直感的に思うこと・・
ほんとうのプロは・・プロっぽさを標榜しない
技術に埋没せず・・人格と人生を通して
生きることの素晴らしさを伝えるひと・・
そんな気がしたのだった

遅きに失するが・・改めて
著作なども拝読して・・勉強したいと
早朝に・・痛感したのだった

起こしてくれた・・愛犬桃次郎に多謝である




人気ブログランキングへ応援してくださる方・・クリックしてネ!
[PR]
by touseigama696 | 2013-07-26 09:03 | ●エッセイ | Comments(4)
Commented by moon-pon at 2013-07-26 21:00
昨日のTVは見ていませんが、
何年か前、杉本博司氏の展覧会で、水平線の写真に魅せられたときのこと、思い出しました。
衝撃的でした。
日本人のDNAに深く刻み込まれた何かに、私も共鳴したのかもしれません。
Commented by touseigama696 at 2013-07-27 06:48
moon-ponさん
ありがとうございます
さすが・・ moon-ponさん
杉本さんをご存知だったんですねぇ・・
水平線のフォト・・私も感銘しました

省略の極致でもあって
やっぱり飽きないですよね
引き算の陶芸・・やはり大事なコンセプト
改めて・・考えました
Commented by はるこ at 2013-08-07 23:10 x
水平線というのは存在しないのですよね、、
とても衝撃的です。
だから、じっと見つめてしまう、、そこが始まり、、
先生からたくさんの情報をもらって気づく事がたくさん、、
桃次郎ちゃんに感謝です、、
Commented by touseigama696 at 2013-08-08 09:58
はるこさん
ありがとうございます
桃次郎と歩いてるといろいろ考えます
奴は何にも考えてませんが・・爆
でもお陰で・・ちと頭の体操かもです
名前
URL
画像認証
削除用パスワード