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桃青窯696

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50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

もうひとつの甲子園

去年の暮・・義兄は逝った
その直前に・・義兄は妻である義姉を失くした
その葬儀の席に・・兄は車椅子で出席した
自分もまた入院している最中に・・
妻が先立ってしまったのだ

悄然とした兄の様子を眺めながら
妹になる私の妻に・・こう言った
「兄貴は・・もしかしたら長くないかも・・」

それには・・理由があったのだが
まもなく・・予感は現実になってしまった
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夕方・・妻が私に新聞を見せた
「榎本さん・・亡くなったって書いてる・・」
それがこの記事である

今でこそ・・イチローの大活躍は
彼の名前を・・一躍世界的にしたが
先代の安打製造機・・榎本喜八を知る人は多くない

当時の弱小球団にいたせいもあるが
決してスター選手とはいえなかったが
記録を見ても判る通り・・不世出の大打者である

昭和40年代・・彼はまだ現役だったから
スポーツニュースの取材で訪ねた
今はない南千住の東京スタジアムで
何度か会ったが・・「今日も閑古鳥が・・鳴いてらぁ~!」
そんな時代だった
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「もしかしたらさ・・兄貴が呼んだのかもな・・」
私は新聞を読みながら・・妻にそう言った

去年の暮れに逝った義兄は・・
早稲田実業時代・・榎本選手と同級生
ふたりで何度も甲子園で野球をしてたのだ
数年後に王貞治選手の活躍で・・優勝もしたが
兄たちの時代でも・・強豪だった

早実を出ると・・榎本はプロ野球に
兄は・・ノンプロのサッポロビールに入り
後楽園で活躍した

妻の葬儀に車椅子で出席したのは
病気のために足を切断する手術を受けた直後だったからで
あのアスリート時代を思えば・・
耐えがたいほどに屈辱的だったに違いない
悄然としていたのも・・無理もないことで
その上・・妻に逝かれてしまい
人生への失望は・・想像に難くなかった
「・・もしかしたら・・」と言ったのは・・
そう言うわけだった

チームメイトとして・・寝食を共にした青春
あの輝かしい青春は・・半世紀以上も昔のこと
甲子園では・・今日も熱戦が続いている
兄から見れば・・孫みたいな選手たち
でも・・甲子園のグランドは・・今も同じだ

もうひとつの甲子園は・・
静かに幕を閉じて・・ざわめきも消えた
今ごろどこかで・・
二人はキャッチボールでもしてるのかも・・



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by touseigama696 | 2012-03-31 01:39 | ●エッセイ | Comments(0)
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