2010年 04月 09日
個展と公募展その4 (45) |
益子での陶葉会のグループ展で・・・
ものづくりが・・初めて「もの」を売るということは
それが個展であろうと・・委託のお店だろうと
極く一握りの・・天才作家を除けば
「恥」を売ったのだ・・と思うべきでしょう
その時の最善にせよ・・その先で自覚して・・
敢然として渾身をふるうにせよ
初期のものに色濃く宿る「未熟」・・それを
厚かましくもお買い上げいただいたという気分
忸怩たるものが・・いつまでも残ります
晩年の名工が・・することのひとつに
若いころの作品を・・近作と交換してほしいと
願いでること・・と聞いたことがありますが
分かるような気もします
益子の人間国宝 濱田庄司さんが 若いころに作った湯呑み
死んだ親父が・・長いこと使っていたらしい
でも・・大抵断られるのだそうです
「人間国宝の近作はお金があれば買えるが
若いころの習作に宿る「恥」は・・今になればお金じゃ買えない・・」
が理由だそうですが・・それは
結果として「恥」の効用なのかもしれません
名工になってしまえば・・恥は売らないからです
してみると・・名工になれなければ・・一生
恥のままで売り続けるかもしれないことを想像すると
売ることの恐さを・・痛感するのです
そんなことを言うくらいなら
ものづくりにならなきゃいいのですが
ものづくりになるきっかけが・・
必ずしも売ることとは限らないから
なってしまって・・煩悶する羽目にもなるのです
これは・・私の糸抜きによる・・線紋湯呑み・・
結局のところ・・多少なりとも・・
自信めいたものを感じて制作できる時期
それだけの修行を積んで・・それを免罪に
恥も含めて・・個展やギャラリー販売を
お願いしてゆくしかなさそうです
それは・・いつならいいのか?・・悩ましい問題です
私の場合・・自作への客観的評価
それが公募展で・・10年ほど前
日本陶芸展で・・実用陶器部門での入選でした
でも・・実際に個展に至るまでには
なお6~7年の時間が必要でした
この意味でいうと若い作家は・・気の毒です
のんきなことを言ってるわけにはゆかないでしょう
生活がかかっているはずですから・・
結婚もし・・子を育て・・家や工房を構える
陶芸家で・・安心してそれをできる若者が
どれほどいるでしょうか?・・余談ですが・・
日本の文化行政の遅れの・・腹立たしい部分です
この・・生活を賭けての真剣は・・それも恥の免罪と言えます
恥と生活の狭間で・・たっぷりと鍛えられてゆきます
ひとが育つとはそうしたことで・・使い手・・買い手は・・
好みの器を手にしただけでなく
将来の人材を育てたことになる・・と
寛大になれるかもしれませn
個展直前の準備の様子・・去年の秋のことでした
一方で・・このブログをご覧いただいてる方の中には
ある程度の年配で・・だから楽しみながら・・
でもできることなら仕事としても成立できたら・・
と願っている方もいらっしゃるでしょう
そうした方は・・若者に比べればラッキーと思うべきです
少なくとも・・ひっ迫して生活を賭けるのではなく
年金暮らしになっても・・多少のお小遣いになれば・・
くらいな穏やかな気持ちで乗り出せるはずです
10年ほど前の日本陶芸展で初出品初入選した・・天目組鉢
この図録に掲載されたことが・・全ての出発だった・・
そこで・・最後にひとつだけ・・メッセージを!
・・だからこそ・・若いころ以上の本気になって
売ってしまうかもしれない恥の忸怩を
味わいに変えてしまうほどに・・
打ち込んでみてほしい!・・のです
それこそ・・
晩節を飾る金メダルになるかもしれません
晩節は・・まだ先のこと・・そう思える年代の間に
晩節の構えを備えることが・・
結局・・人生終章の極意ではないでしょうか!
応援してくださる方・・クリックしてネ!
by touseigama696
| 2010-04-09 22:54
| ●窯だ行進曲
|
Comments(10)
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tes_music_system at 2010-04-10 10:13
なるほどね・・・人前に出すということは恥を出すということか~だからドキドキするんだね?!(笑い)
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Blog_Maya at 2010-04-10 18:54
どっどうしよう・・・、そんなたいした覚悟もなく来年の個展を決めてしまいました・・
分かりました、私はこうして恥をかくのですね! でも少しでも少なくかけるように・・・頑張ります
分かりました、私はこうして恥をかくのですね! でも少しでも少なくかけるように・・・頑張ります
人が生きていれば成長の道があると思います。
>>若いころの習作に宿る「恥」は・・今になればお金じゃ買えない・・」
必要な時間だったのだと思います。
その時、その瞬間の感性。大事にしたいと思います。
買い手側からも正直言って、今では絶対買わなかったと思う作品もあります。でもその時はそれがいい!♪)^o^(と思ったのです。
そのときの気持ちは忘れてない!恥とは思わない。
成長してもしなくても、自分の歴史を大事にしたいです。
>>若いころの習作に宿る「恥」は・・今になればお金じゃ買えない・・」
必要な時間だったのだと思います。
その時、その瞬間の感性。大事にしたいと思います。
買い手側からも正直言って、今では絶対買わなかったと思う作品もあります。でもその時はそれがいい!♪)^o^(と思ったのです。
そのときの気持ちは忘れてない!恥とは思わない。
成長してもしなくても、自分の歴史を大事にしたいです。
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touseigama696 at 2010-04-10 22:01
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touseigama696 at 2010-04-10 22:06
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touseigama696 at 2010-04-10 22:10
yumita6さん
作り手も・・使い手も・・
みな経験で学んでゆくものです
恥という言葉を・・悪とは思っていませんが
振り返って未熟だったと思うことを前提でしか
今の最善はないものと・・思っています
どの道・・歩いた道全てが自分の責任であり
歴史でもあります
粗末にしていいとは・・勿論思いません
作り手も・・使い手も・・
みな経験で学んでゆくものです
恥という言葉を・・悪とは思っていませんが
振り返って未熟だったと思うことを前提でしか
今の最善はないものと・・思っています
どの道・・歩いた道全てが自分の責任であり
歴史でもあります
粗末にしていいとは・・勿論思いません
tousaigamaさんと私は、たぶん究極的には同じことを思っているのだと思います。
誰もがし・・・
「恥」という一字に反応してしまいました。
買った人は(今、作者が思うと・・)「恥」を買ったのでしょうか?
どちらも決して恥ではないよと、言いたかったのです。
自分が真剣に歩いてきた道に恥はないと思うからですが、そのときの自分は今の自分にないものかもしれません。
その時買った人でも、今の作品には興味を示さないかもしれません。
買い手が成長しなかったというより、やっぱり「出会い」かもしれません。金銭や技術だけでは計れない、なにかがあったのだと「思いたい」です。m(_ _)m
誰もがし・・・
「恥」という一字に反応してしまいました。
買った人は(今、作者が思うと・・)「恥」を買ったのでしょうか?
どちらも決して恥ではないよと、言いたかったのです。
自分が真剣に歩いてきた道に恥はないと思うからですが、そのときの自分は今の自分にないものかもしれません。
その時買った人でも、今の作品には興味を示さないかもしれません。
買い手が成長しなかったというより、やっぱり「出会い」かもしれません。金銭や技術だけでは計れない、なにかがあったのだと「思いたい」です。m(_ _)m
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touseigama696 at 2010-04-12 21:48
yumita6さん
誤解を招くような書き方で失礼したのかもしれません
買い手は・・恥を買うのではありません
好んで買ってくださっているんでしょうが
売り手は・・後になれば下手が目につくのです
今なら・・もうちょっとましなものにできるのに・・
そういう意味です
これは・・私には実体験なので
そう感じたままなのです・・苦笑
そして・・どこまでいっても
決して満足できないもの・・
馬の鼻先のニンジン・・
馬が歩けば・・ニンジンも前に・・笑
いつまでたっても食べられないニンジンなのでしょう
言葉が足りないのか・・刺激的な言葉なのか
いずれにしても・・気を悪くされたなら・・お許しを・・!
誤解を招くような書き方で失礼したのかもしれません
買い手は・・恥を買うのではありません
好んで買ってくださっているんでしょうが
売り手は・・後になれば下手が目につくのです
今なら・・もうちょっとましなものにできるのに・・
そういう意味です
これは・・私には実体験なので
そう感じたままなのです・・苦笑
そして・・どこまでいっても
決して満足できないもの・・
馬の鼻先のニンジン・・
馬が歩けば・・ニンジンも前に・・笑
いつまでたっても食べられないニンジンなのでしょう
言葉が足りないのか・・刺激的な言葉なのか
いずれにしても・・気を悪くされたなら・・お許しを・・!
こちらこそ訳の分からないことを書いて申し訳ないです。
touseigamaさんの謙虚な気持ち、実はよく分かります。
熟さないうちは拙い作品も当然あると思います。
技術的にはNGですよね。(後年、買い手にも分かります)
でもなんとなく、その時に買った気持ちが分かるのです。
なにがそのとき気に入ったかと。
造る方は高みに限りがないのですから、上手くなっていただかなければ困ります(笑)。そうしないと魅力ないですから。
その未熟さが恥であるなら、「恥」を恥と感じる事のできる人が成長するのではないかと思います。(実はそう思っています)
両方の面で気持ちが複雑になってしまいました。スミマセン!
touseigamaさんの謙虚な気持ち、実はよく分かります。
熟さないうちは拙い作品も当然あると思います。
技術的にはNGですよね。(後年、買い手にも分かります)
でもなんとなく、その時に買った気持ちが分かるのです。
なにがそのとき気に入ったかと。
造る方は高みに限りがないのですから、上手くなっていただかなければ困ります(笑)。そうしないと魅力ないですから。
その未熟さが恥であるなら、「恥」を恥と感じる事のできる人が成長するのではないかと思います。(実はそう思っています)
両方の面で気持ちが複雑になってしまいました。スミマセン!
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touseigama696 at 2010-04-16 00:36