ブログトップ

桃青窯696

touseigama.exblog.jp

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

妙なる不協和 (49)

d0085887_22423386.jpg

生涯に数万個の茶碗を挽いて・・
これほどに下手なロクロは・・見たことない

しかし・・
こんなに魅力的な茶碗を・・数万個も作りながら・・
ひとつも売らなかった心意気も・・聞いたことがない
途方もなくスケールの大きな人間だったに違いない・・と
鳥肌がたつ思いで・・じっと眺めた

数万個をロクロで挽いたら・・ほっといても・・
ある落ち着いた形に納まってしまうはずだ
熟達した職人の仕事は・・つまりはその「落ち着き」である
数がもたらす無作為の結論は・・納まるところに納まる

しかし・・半泥子の茶碗は
納まるところに・・納まっていない
だから表層的にいえば・・下手に見える

ただ・・納まるところに納まっていないのは
納めなかったからだ・・と考えると
数万挽いて・・そこに落ち着かせない『手』は
非凡な頭が命じた・・定石への反逆だと思う

音楽に「不協和音」という概念がある
文字通りに理解すれば・・協和しない不快な音
と思いがちだが・・実は違う

不協和音は・・必ずしも不快ではないからだ
むしろ・・落ち着かない音のほうが正確なのだ
音楽的には・・解決してない音というらしい

もっと先に・・安定した音を予見させる音として
不協和音は・・協和へのブリッジになる
それが音楽を膨らませもし・・お洒落にもする

少し乱暴で失礼な言い方だが
半泥子の茶碗は・・
落ち着かせることを意識しない
まるで幼な児のような・・
無縫の縁で止まっている

数万挽いて・・ここにいられる心情は
哲学以外の何物でもない

この哲学なしに・・
これほど魅力にあふれた茶碗を
売らずに済ますことだって・・できないはずだ

良いものを作りたい一心
誰のためでもなく
金のためでも・・権威のためでもない

こころと手が赴くままに
一瞬を楽しみ・・一瞬に止める
あるがままに・・形を受け入れて
愛しみを込めて焼き上げる

言葉として理解できても
実践できるか・・と問われれば
われに哲学・・ありやなしや?である

『半ば泥(なず)みて・・半ば泥(なず)まず』
思い通りになるも半ば・・ならぬも半ば
こだわり半分・・こだわらずも半分

つまりは・・こころの赴くままに土を楽しめ
半泥子の号は・・そう教えているように思える

昨日の午後・・銀座松屋で
『川喜田半泥子のすべて展』・・を見た

人生観・・作家観が変わるほどに
深い感動を味わったのは・・事実である
d0085887_22424625.jpg

今日の午後・・10分足らずで茶碗を7個挽いた
あっという間に挽いて・あっという間に削ってみた
考えず・・手のままにのつもり
そのひとつが・・これである
d0085887_22425529.jpg

ご覧の通り・・削りも含めて
何やら・・あっさりと落ち着いてしまっている
協和音の世界・・のように思うのだ

手が勝手に落ち着かせてしまっているのだろう
頭は・・半泥子のメッセージに従っているつもりなのだから・・

「先を予見させる・・一瞬手前の形」
新しいキーワード・・課題にしよう

仕事を終えてまた独り一服は・・more・・で

人気ブログランキングへ応援してくださる方・・クリックしてネ!




d0085887_22432948.jpg

今日は・・手びねりの黒釉しのぎ茶碗
菓子は・・大好きな甘納豆

人気ブログランキングへ応援してくださる方・・クリックしてネ!
[PR]
by touseigama696 | 2010-01-14 00:15 | ○展覧会 | Comments(4)
Commented by nonacafe at 2010-01-14 01:34
小生も正月にこちらの半泥子展を観て参りました。
所も同じ松屋で今から15年程前(いや20年前かな?)初観覧して大感激。
憧れました。下手具合がいいのだ!と変な勘違いをしたのが
我が陶芸趣味の始まりで、以来そのまま進歩なし、いや退化そのもの(苦笑)
そんな感慨深い今回の再会展なのに、怠惰な我は
我がブログの記事にも出来ません、でした。(いやはや…)

数万個挽いて、ひとつも売らなかったとのこと、
いったいそれらは今頃どこに眠っているのでしょう?
美術市場にもあまり出回らないとか。…ということは
その他はみなツブしたということかしらん?(笑)
やはり!財力の違いかな〜?どこかに陶片でも落ちてないものかな?
と、ビンボー人はあくまで下世話です。(笑)
Commented by touseigama696 at 2010-01-14 22:11
nonacafeさん
ありがとうございました
ふたつ三つ見ただけじゃ
半泥子さんのことは分かりませんね
でも・・こうして沢山一度にみると
ほんとに・・すごいのが判ったような
久しぶりに・・大感動の展覧会でした

後を追う者にとって・・
始まりであり・・ゴールでもあるかな・・笑
Commented by akemi-karko at 2010-01-15 10:34
この記事を読んで行って参りました(笑)
目的地は 松屋8階。新幹線に飛び乗り 遥々銀座まで。
しかし しかし すごかった・・です
ある方は「色っぽいわね・・」 またある方は「んん・・すごい字だなぁ・・」と思わず 口に出てしまったようで  そんなあちこちから聞こえる声にも うんうんとひとり頷いていました。
桃青窯さんを重ねながら この器では この書 では なにを感じられたんだろう・・と思いながら観ました
ご紹介に感謝です!
まだ 行かれてない方は是非 松屋へ・・
Commented by touseigama696 at 2010-01-15 22:05
akemi-karkoさん
遠いところ・・ごくろうさまでした
でも・・楽しめた様子・・何よりでした
「魅力」ってのは・・技ではない
結局・・人間としての力なんでしょうね
銀行家でありながら・・一方で陶工
いいですね・・このコントラスト
名前
URL
画像認証
削除用パスワード